2026.09.09
メディエイトカーズ メディア担当のSHUNAです。今回は在庫車両の紹介記事になります。
今回紹介するのは2017年式の718ボクスターSになります。4気筒ターボエンジンを初めて採用した718世代の魅力に迫っていきたいと思います。

・718という世代の転換点
ポルシェのミッドシップモデルは、986ボクスターから始まり、987、981と続いてきました。そして2016年に登場した982型が、車名を「718」へと改めました。
名前の由来は1950年代から60年代にかけてタルガフローリオやル・マンで数々の勝利を挙げた、水平対向4気筒エンジンを積むポルシェ718。その名を冠したとおり、最大の変更点はエンジンが水平対向4気筒ターボになったことです。ボクスターには2.0L、ボクスターSには2.5Lが与えられ、それぞれ先代比で35PSのパワーアップを果たしています。
ボクスターSの出力は350PS/420Nm。先代981ボクスターSの3.4L NA 6気筒(315PS/360Nm)から、数字の上では明確に進化しました。

そして重要なのがトルクの出方です。420Nmは1,900rpmという低回転域から発生し、4,500rpmまでほぼフラットに続きます。かつての自然吸気フラット6が高回転域まで引っ張って気持ちよさを引き出すキャラクターだったのに対し、718ボクスターSは中低速域から分厚いトルクで積極的に前へ進むキャラクターへと変化しました。
これは官能性よりも「実用的な速さ」への転換を意味しており、好みが分かれるポイントでもあります。ただ、日常域での扱いやすさは間違いなく向上しています。
・エクステリア
まず一番最初に目を引く鮮やかなボディカラーはラバオレンジ。有償色です。

足元に見えるのがイエローキャリパーのPCCB。高額オプションで、装着車は中古市場でもごくわずかです。軽量なセラミックディスクはバネ下重量の低減に寄与します。ホイールは20インチのCarrera Sホイール(ハイグロスブラック塗装)。ブラックのホイールとイエローキャリパーのコントラストがかっこいいポイントです。


リアビューは、718世代で採用されたテールランプをつなぐアクセントパネルが特徴。Porscheロゴが立体的に浮かび、981から最も印象が変わった部分と言えるかもしれません。

ロールオーバーバーはボディ同色のラバオレンジ。幌を開けた状態だとかなり目立つので、おしゃれなポイントです。
電動ソフトトップは走行中でも約9秒で開閉が可能。上位車種の718スパイダーは幌の開閉が手動なので、あえて電動のボクスターを選ぶ方も少なくありません。ポルシェのオープンモデルは、幌を開けても閉めてもボディラインが崩れないところが魅力です。


なお当車両はプロテクションフィルム(フロント・サイド一部)を施工済みです。

・インテリア
こちらのボクスターSは、718世代では珍しい左ハンドル仕様です。718世代は右ハンドルが多くなったため、左派の方には嬉しいポイントだと思います。

インテリアは標準のものですが、前オーナー様が丁寧にお乗りいただいたおかげで非常に良好なコンディションです。
注目していただきたいのが18wayの電動アダプティブスポーツシート。サイドサポートの張り出しまで電動調整が可能な最上位のシートで、標準シートより肩のホールド性が高く、体がブレないのでドライビングに集中できます。シートメモリーは2パターン記憶でき、すぐにベストポジションへ戻せます。ヘッドレストにはポルシェクレストのエンボス加工。


メーターはアナログの3連メーター。一番右側は液晶で様々な情報を表示できます。ミッドシップモデルは歴代3連メーターというのも、こだわりを感じる部分です。


BOSEサラウンドサウンドシステムは、オープン時でも不足のない音楽を提供します。ポルシェ エントリー&ドライブにより、ポケットに鍵を入れたままの解錠やエンジンスタートが可能です。
人気オプションのスポーツクロノパッケージも装備。スポーツ・プラスモードが追加され、ステアリングにモード切り替えボタンが加わります。中央のスポーツレスポンスボタンを押すと20秒間出力がアップする、本格的なサーキット走行も想定した装備です。

そのほか電子制御サスペンションPASM、2ゾーンオートエアコン、シートヒーター、パークアシスト(フロント・リア、バックカメラ付)を装備。オープンカーにシートヒーターは必須ですね。
トランスミッションは7速PDKです。



積載性も見逃せません。フロントトランクは150L、リアトランクは125L。合わせるとオープンカーらしからぬ容量で、旅行もこなせる車です。


・走らせた印象
4気筒ターボエンジン
この車で最も特筆すべき点はエンジンです。
前の世代の981型はNAの6気筒でした。そこからダウンサイジングして4気筒ターボへ。Sグレードは2.5Lのターボエンジンになります。僕自身も981ケイマンのオーナーで、もう5年ほど乗っているので、981型のNAの良さは人一倍理解しているつもりです。
そのうえで言いますが、かなりパワフルです。
350PS/420Nm。僕の乗っているケイマンと比べても出力はかなり大きい。2000回転あたりからトルクがしっかり効いてきて、ガツンと背中を押されるような加速をしてくれます。
NAかターボか、という議論
よく議論になるのが、6気筒NAと4気筒ターボのエンジンサウンドです。
正直に言えば、NA6気筒の高回転まで軽やかに回る気持ちよさは、この4気筒にはどうしてもない部分です。そこはNAに劣ってしまうところが確実にあると思います。どうしてもNAがいいという方は、981か、あるいはGTS 4.0のようなNAを選ぶしかありません。
ただ、そこまでNAにこだわりがない方であれば話は変わってきます。スペック自体、性能自体はかなり進化しているのは間違いありません。サーキットでコンマ1秒のタイムを競うような場面では、絶対にこのターボエンジンの方が有利になってくると思います。
トルクバンドの広さが効く場面
登りの道などでは、NAだとかなりシフトダウンして回転数をトルクバンドに入れてあげないと辛い場面があります。そこをターボ車ならではの広いトルクバンドで、わざわざシフトダウンしなくても十分な加速をしてくれる。1900回転から最大トルクが立ち上がるので、ここは大きなメリットだと思います。
日常の街乗りでも、低回転からのパワフルなトルクは常用する領域でかなり効いてきます。NAは低回転のトルクがどうしても細いので、その意味でも幅広い方におすすめできるのが718ボクスターSだと感じました。
なお、2速などでアクセルオフするとかなりバブリングします。
オープンでも剛性に不満なし
やはりボクスターですので、オープンドライブを楽しめるというのが最大と言ってもいい特徴です。
オープンカーだからといって剛性感が少ないといったことは全く感じません。僕自身クーペに乗っている身ですが、そこからこのボクスターに乗り換えても不満が出てこないレベルです。剛性の作り込みは、さすがポルシェが当たり前のようにやってきているなという感じを受けます。
718は歴代で最もシャープ
ハンドリングについては、718世代はかなりシャープだという印象を受けます。
様々なミッドシップモデルを運転させてもらってきましたが、718に乗るとやはり歴代のモデルに比べて頭の入りがシャープで、ハンドルを切ったときのレスポンスが一番鋭い。切ったらすぐ頭が反応して、行きたい方向を向いてくれる。そこがドライバーとの一体感につながって、運転する楽しさに直結している部分になっているのは間違いないと思います。
こちらのボクスターSはPASMが付いているので、オフにするとロールが増えてノーズの入りも穏やかになります。ゆっくり乗りたいときはオフ、山道でがっつり走りを楽しむときはオンにすると、かなり反応が鋭くなる。
足回りは基本的な骨格が981から踏襲されていますが、補強のバーが入るなどしており、剛性感も確実に上がっている印象です。
PCCBの恩恵は足の動きに出る
この個体最大のポイントがPCCBです。バネ下重量が軽くなる、ブレーキダストが減る、耐久性が高いなど色々メリットはありますが、乗っていて感じるのはちょっとした段差やギャップを超えたときの足の動きがすごく軽いということ。サスペンションがよく動いているのを実感できます。ここはPCCBを付けていない車と比べれば、かなり体感できる部分だと思います。
日常も走りも、切り替えで
ノーマルモードでPASMもオフにして乗っていると、乗り心地はそんなに硬いという印象はありません。このくらいの乗り味なら、パートナーと出かけるなど日常的に使うことも全然可能なレベルにマイルドになります。
スポーツモードと足回りの切り替えで強弱がはっきりしているので、場面によってキャラクターをかなり切り替えられる。この二面性も魅力になっているのかなと思います。
どんな方におすすめか
僕がおすすめするとしたら、単純に車としての完成度の高さを求めたいという方です。
冒頭に話した通り、NAエンジンの気持ちよさがないんじゃないか、ターボは音がそんなに良くないんじゃないか、という部分は、好みによってはそう感じる方がいるのも確かだと思います。それよりも、車としてのスペックは確実に上がっているという部分に魅力を感じられる方には、僕はとてもおすすめしたいですね。
僕自身NAも好きですが、ターボ車のトルクフルなフィーリングもすごく好きです。


・最後に
718の4気筒ターボ化は、登場時から賛否のあった部分です。ただ実際に乗ってみると、NAでは得られない低回転からの分厚いトルクと、歴代で最もシャープなハンドリングという明確な武器があります。
軽量なボディを維持したままパワフルなエンジンへと進化したボクスターSは、サーキットでも高いタイムを狙えますし、ワインディングや街乗りでも扱いやすい。そこにPCCBという希少な装備が加わり、ラバオレンジという個性もあります。
排気音やオープン時の様子は、YouTubeにアップしている紹介動画でご確認いただけます。